コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。
Episode 36たかが医局!!されど医局(上)2005年04月01日 コンサルタントF
先日、いい転職先を探して欲しいと一本の電話が入った。電話をしてきたK先生は現在37歳で、消化器外科を専門にしている。電話口で「今年こそ、X大医局から離れたい・・・」と切実に打ち明けられたので、詳しい状況をお聞きするために3日後、会うことになった。
K先生は「毎年退局を考えますが、その都度、教授に引き留められて・・・。去年は専門医推薦印の獲得を条件に残留しました」と言われたが、推薦印を未だにもらえていない現状とのこと。
「しかし、K先生。そのような状況で辞められますか?」
「いや、たかが医局! 辞める時は勢いですよ」
「でも専門医の資格は?」 「なくても医者だし・・・資格より今すぐ医局から離れたい」
K先生は他大学出身のためか、X大医局人事の主流に乗れず、講師等の雑用に追われる日々を過ごしている。これでは手術はもちろんのこと、臨床に携わることもできない。K先生自身は臨床の現場に深く携わりたいという意向であった。
そこでいくつかの病院を紹介して、ようやく意中の病院が2~3箇所見つかった。これで穏便に退局できれば良かったのだが、ことはそううまく運ばなかった。
退局願いを出したK先生に対して、直属の教授は「今辞めるのなら、専門医の推薦はしない」と言い、関連病院の勤務を薦めてきた。その関連病院自体は決して悪くなかったが、私が提案した病院よりも勤務条件と年収ダウンは否めなかった。