コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。
Episode 36たかが医局!!されど医局(下)2005年04月15日 コンサルタントF
「K先生。それで、どういたしますか?」
「・・・・・・退局も難しいかも」
その数日後、K先生から急ぎのTELがあった。驚いたことに、X大関連病院とその県内の病院に対して「K先生を採用しないように」との通達が出されたというのだ。最悪の結果である。教授にはこんなにも権限があるのか、と私は思い知らされた。しかしここで退いてはコンサルタントとしての意地が!
私はその県内にあるX大の関連ではなく、教授の息がかかっていない、K先生の専門が活かせる病院という条件のもと、当社の持つ膨大なデータから病院の選定を行った。その結果、条件に該当したひとつにY病院があった。Y病院はその県内においてX大との関連が全くない病院だった。さっそく面接を設定して、K先生採用の内定を頂くことができた。
あとは専門医取得の問題である。調べたところ、Y病院に非常勤講師として来ているZ大学助教授の口ききで、K先生がZ大研究員として医局に所属して専門医の推薦が受けられるということだった。
あわせて渦中のX大教授が退任後、改めて新教授に対して専門医取得の推薦印申請ができることも提案した。K先生はそんな専門医の取得案があるとは考えもつかなかった、と驚かれていた。
ましてやK先生の年収について、現在の医局が420万円のところを、Y病院の提示額はなんと1500万円(当直料含まず、週4.5日勤務)と大幅アップだった。K先生のご家族の驚きぶりは、文章では表現できないほどであった。
K先生の転職を通じて垣間見えた医局騒動は氷山の一角にすぎず、各大学の医局ではまだまだこれ以上の事が行われているのでは・・・と思う。そのため我々コンサルタントのできることとその使命は、非常に重いと考える次第である。