「なぜ、施設長という役職へのこだわりをお持ちなのですか？」と私は尋ねると、M先生は「娘が結婚したときに、父が施設“長”って、ちょっと誇らしいでしょう？」
その一言が、とても胸に残りました。
その言葉を胸に、それからというもの、私はM先生の「想い」に寄り添った求人を今まで以上に探しておりました。“条件”だけで求人を選ばず、探していたところ、先生のご希望にマッチした求人を見つけました。ご自宅の近くで、給与も希望額へ調整可能、そして施設“長”としての採用。まさに、M先生の思い描いていた求人でもあり、私が待ち望んでいた求人でもありました。

私はすぐにM先生に連絡をしました。しかし、返ってきた言葉は厳しいものでした。
「もう今の職場で続けようかと思っています。通勤は遠いし、給与も上がらないし、施設長でもない。でも人間関係が良くてね。」
私は薄々感じていました。前回の面接から時間が空いてしまい、M先生の転職への意欲は少しずつ冷めてしまっていたのだと。それでも私は、この求人がM先生の希望にとてもマッチした求人で、ぜひご紹介したいと諦められず、M先生に電話をしました。

「M先生、ほんの少しだけ、私に時間をください。」
すぐにM先生に会いに行きました。そして求人の詳細を丁寧に説明し、前回の求人との違いを明確に伝えました。「今回は、面接には院長先生も同席されます。医師としての考えを、きちんとお伝えできます。」「M先生のご希望の娘さんに誇れる施設長の募集求人です」
するとM先生が、「“三度目の正直”とも言いますもんね」と、私の説明に納得され、面接を受けることを快諾して頂きました。

数日後、面接に向かったM先生は、見事に“採用”を勝ち取られ、今も施設“長”としてご勤務をされております。
転職には、希望条件だけでなく、必ず“背景”があります。家庭、信念、そして未来への想いを希望の中からしっかり聞き出すことや、寄り添うことを忘れてはいけないと思いました。またM先生のご転職がとても良い経験となりました。