トップページコンサルタント手記Episode 187: 理想的勤務へ最後のチャンス(上)

コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 187理想的勤務へ最後のチャンス(上) 2017年02月15日 コンサルタントI

弊社では『お仕事リクエスト』という現在や将来的に希望する仕事(常勤・非常勤)を先生方にメールにてお伺いすることを行っております。

数多くの先生方からご返信を頂き、S先生からもお仕事リクエストの返信がありました。
内容は常勤の転職をお考えになられており、希望に合う医療機関があればとのことでした。

早速、S先生に連絡を取り、ご希望を伺うためにご面談をさせて頂きました。

S先生は50代後半の整形外科医であり、四肢・手指をはじめとする重度外傷治療のほか、脊椎脊髄手術・人工関節なども対応可能であり、特に重度の四肢外傷の初期治療と二次再建術、マイクロサージェリーの技術については自信をお持ちでした。

大学を退局されて10数年、整形外科の立ち上げや一人常勤の病院での勤務歴が長く、
これまでお一人での手術や病棟管理等、幅広く対応されておりました。

現在のご勤務先では、仕事量としてはまだまだ余裕があり、もっと患者を受け入れるように病院側に要求をしていたものの、思うようにいかない状況が続いていました。

先生としても、現在は第一線で勤務できると感じているものの、50代後半という年齢を考えれば、あと数年もすれば体力的にも限界が来ることを見据えており、また、医師一人での手術・治療の限界も感じていたとのことでした。

数ヶ月前に常勤医が1名新たに入職して、『さあ、これから!』という気持ちでしたが、手術はせず外来メインの担当で入院患者もわずかしか持たず、このままではモチベーションが上がらないという状況でした。

現在の勤務先を人生最後の職場にしようと頑張ってこられましたが、最後のチャンスにもう一回賭けてみたいとのことで、転職先の紹介依頼となりました。

先生のお考えは、まだまだ多くの手術、特に重度外傷治療やマイクロサージェリーに携わりたいこと。
また、これまで先生が培った経験・技術を若手Drに受け継いでいただきたいという思いが年々強くなっているとのことで、やる気のある整形外科医が勤務している病院を希望されておりました。

もちろん、年俸や病院の場所などの条件も現在の水準での要求はありました。
週5日勤務、年俸2,000万円以上、ご自宅から1時間以内。

より良いご転職に向け、先生と固い握手をして別れました。
しかし、先生の年齢や病院の体制・手術件数・場所などで絞られてしまい、候補病院は多くはないことが、お探しする前から予想はできました。

しかし私としても、先生の思いに応えるべく、またコンサルタントとして、先生の理想にできるだけ近い転職先を紹介する使命感が強くなりました。

まずは、先生のご希望地域にて整形外科手術を実施している医療機関について、求人などの調査に取り掛かりました。

予想通り、状況は良くありませんでした。
常勤医師数や手術件数では候補となる総合病院は、若手Drであれば受入れ可能というように先生の年齢がネックとなり、また、求人がある病院は常勤不在や手術体制が不十分など、先生の現勤務先の状況と大きな差がないものでした。

結果としては、その時点では人員・設備体制や手術症例が整っている医療機関の求人はありませんでした。
条件だけをもとにした機械的なマッチングでは先生への医療機関の紹介ができない状況でした。

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