トップページコンサルタント手記Episode 135: 再出発(下)

コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 135再出発(下)2012年11月01日 コンサルタントK

A病院は手術が無かった為、病院の伝手で手術が出来る場所を紹介して頂けるかを掛け合った。これまでに習得された「手術の勘」を落としたくないM先生にとって「手術」の有無は、非常に重要なポイントである。
その点を考えるとB病院がM先生の希望に近かったが、通勤時間の問題がかなり引っかかっていた。
そこで、M先生にご質問に対する回答を報告した所、M先生からは「B病院の方が勉強になりますね。ただ、通勤時間がかかり過ぎますね」とつぶやかれた。実は面談の後、M先生はB病院までの通勤時間を計っておられ、印象としては毎日続けるのは難しいとの事だった。ただA病院だと手術ができない状況であった為、再度A病院へ出向き、法人内とA病院のお知り合いの病院などで、週1回でも手術を手伝わせて頂ける病院がないか掛け合った。

その後、A病院の担当者とこまめに連絡を取りながら、週1回でも手術の勉強が出来る病院がないか探し続けた。それから数日後、院長先生のお知り合いで、若い先生の勉強ならと快く引き受けて頂ける病院が見つかり、M先生へ早速報告の連絡を入れた所「A病院で面接をお願いします」との返事を受け、翌週には面接が設定できた。

面接当日、A病院の駐車場に表れたM先生の表情は若干緊張されており、私は「そんなに緊張されなくて大丈夫ですよ。院長先生のお人柄も大変優しい印象ですよ」とお伝えすると、少し緊張が解れた様子が伺えた。
A病院に到着すると事務部長に案内され、窓から遠くに見える山並みが美しく、日差しが差し込む院長室で面接が始まった。

やや重たげな空気で面接は始まったが、次第に会話も笑い混じりになり、和やかな雰囲気に包まれた。院長先生からは、これまでの経歴や今後どういう道を進みたいかなど質問があったが、院長先生が最も心配されていたのは、何年後に実家に戻られるかであった。M先生は、特に1~2年で戻ることはないと伝えたが、両親に万が一何かあった場合は、まずは院長先生に必ず相談すると約束をされ、その言葉に院長先生は「万が一の場合は、A病院としてもバックアップするので、出来るだけ長く頑張ってほしい」と伝えられ、院長先生との面接は無事終了し、その後、事務部長による病院内の施設見学の際にも、M先生は積極的に多くの質問をされ、A病院への関心の高さを感じた。

正面玄関へ事務部長との挨拶を終え、駐車場でM先生に感想をお聞きしたところ、ほぼ決められている感じではあったが、M先生のお人柄からか、同業他社から勧められている他の病院も無下に断れないとのことで、3日後に最終的なお返事を頂く約束をして、M先生を見送った。

M先生からの最終的な返事は早かった。「A病院でお願いします。加えて、少し職場に慣れた後、手術の勉強もお願いしますとお伝え下さい」と連絡があったのは、他の病院に面接に行く前の日であった。M先生は院長先生の「万が一の時は、病院がバックアップする」というお言葉が印象に残り、ご両親にその話しをすると、お父様も院長先生の事はご存知で、あの先生の下であればと太鼓判を押してくれたとの事だった。

A病院から最終的に提示された内容は、週4.5日勤務、月2日の当直、外来と病棟管理のみ、年俸2,000万円、自宅からの通勤時間30分程度ということで、M先生からは「大変満足しています。本当にありがとうございました」との嬉しいお言葉を頂いた。

日ごろお忙しい先生方が「自分らしくある為に、あるいは大切なご家族の為に」といった思いで、転職を考えられている。そのご希望にお応えできた時の喜びを糧に、今後もコンサルタントとして励んでいきたい。

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