コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。
Episode 134ある精神科医師の転職(上)2012年09月15日 コンサルタントT
A先生は当社e-doctorの紹介サポートシステムより当社にエントリーして頂きました。直ぐに頂戴したメールアドレスにご挨拶と面談希望のメール連絡を入れました。翌日、先生から返信があり大阪市内のホテルロビーでご面談の機会を与えて頂くことになりました。
A先生は49歳の男性精神科医師で、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医の資格もお持ちで病院勤務の経歴だけでは無く、米国への留学経験や臨床心理士を育成する大学の非常勤講師もされている有能な先生です。お話振りも非常に上品な感じで、好感のもてる先生でした。
先生のご希望は精神科外来診療だけに注力してお仕事をされたいとのことでした。現在、ご勤務されている医療機関では、最初は外来診療だけの約束だったのに、先月から急に病棟も診て欲しいと上層部から言われ、当初の契約時と話が違うということで、転職を決意されたとのことでした。
外来診療だけをご希望されているということで、神戸市内の先生のご自宅から通勤1時間以内の精神科クリニックをあたってみたところ、週4日勤務、年俸1,500万円というクリニックが大阪市内で見つかりました。早速、クリニックの理事長先生にコンタクトを取り、A先生の匿名打診を行ったところ、ご面談をしたいとのご返事を頂きました。直ぐにA先生に連絡を入れたところ非常に喜んで下さり、面接が決まりました。
面接当日、A先生の方から何故、精神科外来診療だけをしたいのか、先方の理事長先生にお話されました。A先生のお考えは、「現在の精神科医療は、診察から診療の流れで最終的にお薬の投与というように、頭部だけのことがメインになっている。自分としては東洋医学との統合療法を主に外来診療を行いたい。漢方や鍼灸治療も取り入れた精神科診療の中で、患者の体全体の体質改善を目指す医療を行いたい。」ということでした。
先方の理事長先生もA先生のお話を興味深く、熱心に聞いておられました。私も双方感触良好であると感じました。翌々日、クリニックの理事長先生との面接結果についてお時間を頂くことになりました。理事長先生からのご回答は、「この間は良い先生をご紹介してくれてありがとう。私も熟慮した結果、今回はご縁が無かったとA先生にお伝え下さい。」と思いもよらぬ回答でした。