コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 116脱却(下)2011年04月01日 コンサルタントI

一週間後、面接の日を迎えた。S先生の経歴を見ながら、院長先生からM病院の現状、今後の方針、常勤医師についてなど、話を切り出された。そして本題の転職理由について尋ねられ、「医局に在籍しておりますが、心身ともに疲弊しており、このままでは自分が壊れてしまいそうで」とS先生は答えられた。院長先生からは、「うちは中規模病院で内科をメインにやっている分、経験豊富なS先生に来ていただければ病院にとっても、患者さんにとっても、大変有難い。我々も人間ですから、疲れるときも辛いときもあります。身体に負担をかけないよう無理はせず、是非一緒に働いてほしい」と言ってくださった。院長先生の言葉に、S先生は感銘を受けたようであった。

面接後、院長先生だけでなく、事務長からも「人柄も良さそうだし、経験も豊富な先生なので是非来てほしい」との言葉をいただいた。病院を後にして、S先生にも感想を尋ねると、「話しを進めてください。自宅からも30分から40分で、通勤も楽ですし、何より院長先生の言葉が嬉しかった。今の私の状態を察してくれての言葉なんでしょうね。ここで働いてみたいと改めて思いました」と言われた。「週明けに正式な入職条件の回答をいただきます」と告げ、S先生と別れた。

M病院の事務長より連絡が入り、勤務条件は週5日、年俸1,500万、業務内容は外来と病棟管理、当直なし、というS先生の希望に沿った内容であった。

S先生へM病院からの条件内容を伝えると、「ありがとうございます。あとは教授へ報告をしますので、1週間、時間をください」とのことだった。私には非常に重く、祈るような思いで待つ時間が始まった。

一週間がたち、S先生に連絡した。
「S先生、教授との話は無事に終わりましたか」
「3カ月後という話でしたが、教授からは、医局を出ることについては了承するが、局員も不足しており、後任が決定するまではいてほしいと慰留をされました」
このままではS先生は退局できなくなるし、M病院との話が平行線のまま進まない。私はM病院の事務長へ、S先生から伺ったことをそのまま伝えた。事務長は「そうですか。確かにこればかりはなんとも言えませんね」と仰ったあと、「実は、ほかにも話が来ているんです。もしS先生が難しければ、その先生を採用しようと考えています」と驚きの言葉を続けられた。「S先生には是非来てもらいたいという気持ちは変わりませんが、内科医の退職が決定している以上、うちとしても早めに決定したい。S先生をいつまでお待ちすればよろしいのですか」

この言葉に頭の中が真っ白になり、どう返答をすべきか会話に詰まったが、ここで引き下がるわけにはいかなかった。

それからS先生とM病院へ何度も連絡を取り、密な関係を保ちながら3カ月が経った。S先生の後任もようやく決まり、退局が決まった。ここまで来るのに時間はかかったが、全てが報われ、喜びもひとしおであった。

S先生が入職されて約1年が経ち、M病院の事務長から「これもタイミングですし、縁がなかったのではないか、入職は難しいだろうと、正直思っていました。ただS先生の思いやそれをサポートしたリンクスタッフさんには並々ならぬ強い気持ちを感じ、院長ともどもS先生のことを待つことにしたんですよ」とのお言葉をいただいた。

言葉では言い表せないほど、M病院には大変感謝している。先生方が各々に抱える問題は様々だが、乗り越えないといけない壁がある。今回のS先生の経験を糧に、一人でも多くの先生方の力になれるよう今後も精進していきたい。

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