トップページコンサルタント手記Episode 108: ある外科医の転職(下)

コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 108ある外科医の転職(下)2010年08月01日 コンサルタントS

部屋に入るとすぐにY先生から「病院が素晴らしいのはもちろんのこと、理事長も素晴らしい方で、非常に尊敬できる考え方をお持ちなので、是非この病院にお世話になろうと思う。そう思っているのに、返事をしないまま食事会に出るのは、理事長にも事務長にも大変失礼だと思うので、食事会の最初にいまの思いをそのまま理事長に伝えても良いだろうか」と言われた。私は「間違いなく歓迎して頂けると思うので、早く返事を出すことは良いことだと思います」と答えた。そしてY先生は「よし、わかった」と言い、席を立って食事会に向かった。
そして、食事会の冒頭にY先生が理事長に「お世話になる事に決めましたので、よろしくお願いします」と言った。理事長、事務長共に、非常に喜んで頂き、今後の病院の展開や、四国地方の医療の話ですぐに2時間が過ぎその会は終わった。
食事会の後、ホテル内のバーで、Y先生が転職に至った過程や、これまでのご経歴について伺い、素晴らしい人柄で、間違いなく採用をお勧め出来るドクターだと確信した。そして、現在A病院で勤務されている循環器内科のドクターが以前からのお知り合いで、困ったことがあればすぐに相談することが出来るので、安心して入職する事が出来るといった話もうかがった。
翌日、Y先生を近くの駅までお送りした後、前日のお礼も兼ねて、A病院に細かい年俸等の条件を打合せに行った。おおむねY先生の希望を満たす条件の提示であったが、やはり、今回のように同じ病院から、2名同時に、しかもひとつの診療科目を丸ごと移籍させる様な事になるということに関しては不安もあるようだった。私から、Y先生から昨日聞いた今回の転職に至った経緯を説明し、安心して頂いた。その後、Y先生にすぐに報告をすると、Y先生も充分に満足できる条件だったので、次の週には正式に契約という運びとなった。その時私は同席させて頂く事が出来なかったが、契約をした直後に、Y先生から電話があり、契約が無事終わった事を聞きほっとした。そして最後にY先生から「駅に着いた時は、実際の所今までと大きく環境を変えて、四国で働く事に関してはどうかと思っていたけれども、あなたと会い、理事長や事務長と会い、運命を感じ入職する事を決めました。私の担当があなたになった時点でこの病院に入職する運命だったのですね。」と言われ、とても嬉しかった。その後、一緒に異動される予定だったS先生の入職も無事決まった。

その頃、関東では残り1名のK先生の入職先探しがやはり時期的なものや、関東では1人での入職となったことなど、さまざまな要因が重なり、非常に難航していた。なんとか栃木と群馬にある医療機関で2件の面接が決まった。1件目の医療機関は是非先生を迎え入れたい、と言う事であったが、先生が思い描いているような環境ではなく、ようやく2件目に面接にうかがった医療機関で内定となった。しかし、年俸等の諸条件でなかなか合意することができず、数週間が過ぎてしまった。すでに現在勤務されている医療機関の退職日も決まっていたので、Y先生も関東に戻られる先生の事を非常に気にかけておられた。契約が済むその日まで、まだかまだかとY先生がお休みで海外に行かれているときでさえ国際電話で、問合わせをいただいた。やはり、今まで、その先生が脳外科を志されてからずっと同じ病院で教えていた先生が、独り立ちされるということが非常に心配だったようだ。その後、関東の担当者から報告をもらい、契約が無事済んだ事をお伝えすると、自分の時以上に喜んでいただいた。

その後、Y先生が入職された病院との取引ではY先生のお力添えもあり、医師の紹介だけでなく、リンクスタッフが行っている、新しいプロジェクトでの提携の話もトントン拍子に進んでおり、入職後もまだまだY先生との関係が続きそうだ。

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