コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。
Episode 67笑顔(上)2007年02月15日 コンサルタントY
30代N先生からの問い合わせは急を要していた。すぐにお会いする約束をして、当然のことながら、諸事情をうかがうとともに、具体的な希望条件の確認を行うことにした。N先生は関東の国立大学を卒業され内分泌内科医として医局派遣の形で現在都内のH病院に勤務されている。第一印象はとても誠実そうな感じで、患者さんに人気のある先生だなというのが率直な感想であった。
N先生はご結婚されているのだが、ご自身と奥様のご両親の具合がそれぞれ芳しくない時期が重なり、大変なときにそばにいることも駆けつけることもできない状況であった。現在は帰宅時間が0時を回る事もたびたびで、さらに週1回の当直もこなしていた。N先生は悩んだ末、家族を助けられる環境を求める為、医局を離れる決心をしたのであった。
私はご家族思いの先生の正直な考え方と仕事に対する責任感に感銘を受け、先生とご家族が満足して頂ける環境を探さなければと心に誓った。
N先生の条件は、「当直・オンコールが無い事」、「一般内科として勤務するが、DM外来を週1日出来る事」、「トップの考えが患者さんに向いている事」の3点であった。 最終的に、当直もオンコールもない2件のクリニックに絞って面接をした。1つは多種の科目を標榜しているA総合クリニック、もう1つは地域密着型Bクリニックである。どちらも通勤圏内であり、提示条件も希望をクリアしていた。先生は「どちらかにお世話になろうと思います。決めるのに時間をいただけますか?」と連絡があり、両クリニックには、その旨を伝えた。その際の反応は双方異なったが、それぞれの立場で先生を信じて待った。