コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。
Episode 60三者契約というもの2006年07月01日 コンサルタントO
S先生は40代前半の卒後18年目の地方国立大学出身の消化器内科医である。先生は、昨年ご家庭の事情で医局を離れ、関西のとある民間病院にご自分で探され転職した。
今回、その民間病院からの転職を決意されたのは、当初の約束では年俸1500万円での提示を受けたが、給与規定の改定を理由に実際には1300万円にしかならなかった事と、関連大学医局の影響が強く疎外感を日々感じていた為である。今回当社に登録したのはこのような失敗を繰り返したくない為、プロに間に入ってもらいたいと考えたからであった。
先生の希望は明確であり、内視鏡の検査数が多いこと、外科との連携がうまく取れていること、そして何より入職してから話しのくい違いなどのトラブルにならない事というのが一番大きい部分であった。
まずお話しさせて頂いたのが、我々が病院との間に入って諸条件の交渉をするので、入職後の条件面でのくい違いが起こりにくいこと、三者で雇用契約を結ぶことにより万一トラブルになっても、間のワンクッション(我々である)を入れることにより、円満に解決できるケースがほとんどであるという事である。
そして、先生の希望を踏まえて地域で非常に有名な急性期病院を提案させていただいた。実はこの病院は以前に弊社の紹介で7年前に入職した先生が副院長をされている。
そのため、事細かに病院の現状を先生から聞いてることもあって、当社が間に入れば条件のくい違いが起こりえぬということ、且つ先生のご自宅から非常に近い消化器系の症例が豊富な病院であるという事が先生の要望にピッタリであった。
迷わず一本で紹介をさせて頂いた事に、先生も少々驚かれたくらいであったが、自信をもって紹介させて頂いた事もあり、即答で面接を設定させて頂く運びとなった。
面接当日には前記副院長も同席され、学閥にこだわっていてはこれからの病院は生き残っていけない事、消化器系で関西一番になろうと日々取り組んでおり、最先端の医療を行なえる環境にある事、またその他でも先生のスキルを活かす為に機器が必要であれば、購入まで考えて頂けると院長と共に熱弁をふるって頂いた。
先生としては、環境や求めていた症例などがある以上、後は条件とくい違いが無いようにという点だけを心配され、条件面のくい違いがあった前回の経緯を話された。
話しを黙って聞かれていた院長は、今回の転職にあたり年俸1600万円の提示と、弊社と病院と先生との間で三者で結ぶ雇用契約書のサンプル(過去にも使ったものである)を見せられ、万が一くい違いが起これば三者で話し合うことにより解決しましょうとの言葉をかけられた。
S先生も非常に明快な院長の話しに得心され、即決でお返事を頂けた。
帰りの道中、先生より「三者という事でのメリットは、求人側にも求職側にも多いにあり、今回ここまで満足できる転職ができる事になるとは、思ってもみなかった事です。
退局の時点で相談すれば良かった、今回は本当にありがとうございました。」と、ありがたいお言葉まで頂けた。
今回は、三者で契約するという事の大切さを感じた一件となった。後は、今後の先生のご活躍を祈念するばかりである。