トップページコンサルタント手記Episode 171: 離島への帰郷(下)

コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 171離島への帰郷(下)2015年11月01日 コンサルタントK

情報をお伝えしてから10日ほどが経過し先生から連絡を頂いた。先生は『候補を絞ったので、一度見学も兼ね現地に行きたい』と仰られ、段取りをして欲しいとの事だった。

候補としてあがった医療機関は、療養病床を主体とする老人医療を担うF病院と介護老人保健施設など運営するH病院の2医療機関の見学と面接を受けたいとの事だった。どちらの医療機関もDr.が不足している状況で、大学医局やDr.同士の伝手などを利用し運営を行っている先であり、少しでも役に立てるのであればと候補に挙げた様だった。

当初落ち着いた環境で勤務出来る先があればと仰っていた先生のお気持ちは多少変わってきている印象を受けた。当直やオンコールについても多少の協力は可能との意向を示され、条件面について柔軟に検討するお考えの様だった。

条件面の変更に関しては、面談後調整する形とさせて頂き、当初の条件にて話しを進める旨をお伝えした。

F病院及びH病院へ、ご相談させて頂いたN先生より面接・見学の依頼がある事を伝え、面接の日程を調整する事となった。

先生の地元に向かう為には、関西からの直行便が無く、乗継しなければならない為、前日に入り、翌日の面接の段取りを予定した。可能であれば同日に2医療機関とも面談と見学が完了する事が望ましいと思われた為、スケジュールの調整を行った。

F病院とH病院の面接の日を迎える事となった。午前中にF病院へ向かい午後からH病院へ伺う予定にてスケジュールを組み当日を迎えた。

F病院は、病床数200床弱の医療療養型の病院である。高齢の患者層であり、入院患者も平均年齢80歳を超えていた。看取りの数も多く終末期を向かえる患者さんも多く入院している状況だった。

面接は、理事長、院長、事務方の3名にて行われた。理事長も院長先生も年齢的に近く同じ離島出身にて、幼少のころの話など終始和やかな雰囲気のもと時間が過ぎた。

話しが落ち着いたところで、理事長より、病院の現状など取り巻く環境について話をされた。地元でも高齢化と過疎化が進み、入院患者の年齢層も高くなり、医療度の高い患者が数多く入院している現状を話された。

医師についても医局からの派遣はあるものの満足のいく医療の提供には未だ及ばないとの話だった。F病院は3名の常勤医及び数名の非常勤のDr.の協力を得ながら診療に当っている。

本来であれば往診などの業務にも力を入れたい所のようだが、医師が不足し十分な体制が整っていないとの内容だった。病院側としては、N先生が来てくれる事で、幾分負担が減らせる事と往診などの診療体制の充実を図りたい意向の様だった。

院内の見学及び施設周辺の見学を行いF病院の面接を終了した。

H病院へ向かう途中、先生は『疲弊した病院の現状を垣間見た様だった』と話されていた。ご自身が勤務されてきた医療機関も医師が充足とまではいかないにしても、ある程度の医師が勤務しており、往診などもローテーションで回していた。

まだ恵まれた環境で勤務をしていたのだと感じられたようだ。

H病院は、病床数150床ほどの医療療養型の病院で、今回の募集は、併設する老健施設での募集であった。老健の入所は100床で、施設長として勤務頂く形である。院長先生と事務長が対応してくれた。

院長先生は、N先生よりも10歳ほど若く、医師不足の中、精力的に業務をおこなっていらっしゃる様で、当直や夜間のオンコールも一手に引き受けている状況との事だった。老健については高齢の施設長が業務に従事している様だが、体調が思わしくなく後任を探されていた。

院長先生との話は、実務面の話が大半を占め、N先生に老健での業務や入所者の健康状態、急変時の対応や看取りなど事細かく説明があり、施設内の見学を行った。院長先生自らが、院内及び施設内を案内して頂き、更に詳細な説明を頂いた。

N先生も施設内の環境や入所者の状態、カルテなど拝見しながら見学を終えた。院長先生のお人柄は穏やかな印象で、患者さんやご家族ともじっくり話をされる印象だった。

2医療機関の面接と見学を終え、関西へとお戻りになられる帰路の中、N先生は地元の現状を目の当たりにした様だった。どこも厳しい環境の中、医療の提供をおこなっている現状を踏まえ転職について考えさせられたようだった。

後日、F病院及びH病院へ面接の御礼と感触を伺った。両医療機関とも反応は上々で、N先生の人となりやご経験を踏まえ、是非入職に向けた詳細を詰めたいとの事だった。

提示頂いた条件は、両医療機関とも大きな差はなく、週4.5日をベースとし、当直やオンコールについては免除の内容で問題無いとの事だった。N先生に内容を伝える為、電話を入れた。N先生は『先日は、時間を取ってくれてありがとう御座います。地元の環境を見る事が出来、考えが少し変わりました』との話をされた。

先生曰く、定年を迎えるにあたり、地元でゆっくりと落ち着いた環境で医療の提供に従事する事が出来ればとの思いで転職活動を始めましたが、地元では地域住民の為に昼夜問わず医療に従事する先生がいる事を知り、まだまだ身体が元気なうちは現役を通さないといけないと感じられたようで、当直やオンコールもどの程度まで協力できるか分からないが、無理しない程度にやってみようとの事だった。

N先生は、2医療機関の現状を鑑み選択に苦慮されていた。各医療機関へ先生が悩まれている現状、N先生の思いや考えなどお伝えし多少お時間を頂きたい旨をお伝えした。2医療機関とも先生のお考えを重視し選択頂ければとの事だった。

後日、N先生より連絡を頂きF病院への入職に向けた話を進めて欲しいとの内容だった。F病院へお決めになられた理由としては、往診なども含めた地域住民の方への医療の充実を図るという点から、先生自身がもう少し頑張ってみようという思いからだった。

H病院へお断りの連絡をいれ了承を頂いた。院長先生も非常に残念との事だった。

F病院へ、N先生からの意向を伝え、入職に向けた手続きを進める事とした。条件面は、当初検討していた週4.5日をベースとした勤務であり、当直やオンコールについては、どうしてもカバーする事が出来ない場合はお願いするという内容に落ち着いた。

N先生は終始、身体が元気なうちは当直も入れて貰って良いとの話をされていたが、1名増員と言う事も有り、皆で負担なく対応しましょうとの話にて、最終着地をむかえた。

契約締結も無事に終わり、2016年4月入職に向け、地元への想いを胸に帰郷されることとなり、準備を進めている。

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