トップページコンサルタント手記Episode 101: 人の縁とは(上)

コンサルタント手記転職とは、人生を選び取るということ。
これは、医師の転職を導いたコンサルタントが経験した、
本当にあった物語。

Episode 101人の縁とは(上)2009年12月15日 コンサルタントN

「赤い糸ってあるんだね」と、M先生がつぶやいた。私も全く同感だった。人の縁とはこんなものなのかと感じずにはいられなかった。

蒸し暑い真夏のある日、M先生からの電話で全てが始まった。
「以前もリンクスタッフにお世話になったが、契約書などの細かい点まで見ていたただいて、非常に感謝している。今回も是非お願いしようと思って、連絡してみた。年齢的に40代後半にさし掛かっており、もう何度も転職というわけにはいかなくなってきている。希望通りの病院があるかどうか分からないが、今回の転職先には自分なりの理想があり、妥協はしたくないのだ。」
電話での会話とはいえ、そのような言葉の端々に強い熱意を感じた。医師としての円熟期を迎えようとしているM先生が熱く語る「妥協したくない理想」とはなんだろうと、先生の話に夢中になってしまった。早速、M先生と面談を設定し、直接お話を伺うことにした。

面談でも、M先生は熱く理想を語ってくれた。M先生は48歳の循環器内科医師で、現在の病院の循環器内科ではリーダー的な存在である。院長の信頼も厚く、マルチな活躍を期待され、幅広い担当分野を任されていた。また、M先生も院長の期待に応える仕事振りを見せ、それがさらなる担当分野の広がりに繋がっていった。傍目にはサクセスストーリーに見えてしまうが、実はM先生が特化していきたいのはインターベンションで、それに集中できないことで苦しんでいた。何度も環境改善に努めてきたが、実現せず、年齢的にも今回が最後の転職のチャンスと考えていた。
M先生は二つの条件を挙げた。一つは、M先生が非常勤で働いているRクリニックとの連携を取れる病院であることだった。Rクリニックの院長とは意気投合しており、協力体制を取っていくことで地域医療に貢献していきたいとの考えがあったからである。適切な病診連携は病院側に新規の患者を獲得できるメリットをもたらし、クリニック側はクリニックでは対応できないインターベンションが必要な患者さんへのバックアップ体制が確立できる。しかも、病院の常勤医が、週1回でも非常勤でクリニックに勤務すれば、患者さんへ安心感を与えられるという、双方にメリットがあるWIN×WINの関係になれる。そのため、バックアップできる環境がある病院であること、そしてRクリニックの近隣の病院であることが必要だった。
二番目の条件は勤務内容だった。現状の勤務先での反省から、勤務的にも時間的にも余裕が欲しいとの希望だった。病院での業務を限定し、専門外来中心にすること、またRクリニックでの勤務を考えると、週4日か4.5日の勤務で、当直はなしという条件だった。これらの条件を満たしていれば、年俸が多少ダウンしても仕方がないと考えているらしく、先生の表情からも決断の強さを感じた。
早速、案件を探し始めたが、困難を極めた。確かに地域が限定されてはいるが、電車より車で移動することが多い場所であり、地図を広げて住所から手探りで調べていくしかなかった。また、場所だけでなく、Rクリニックとの連携が取れる程度の規模が必要であることも考慮しなければならない。M先生の条件が金額や勤務日数だけでないゆえに、なかなか提案できない日々が過ぎていった。

そんなある日、A病院が候補に上がった。場所はRクリニックに近く、グループ系の病院で規模的にも問題はない。M先生の希望の概要を事務長に伝えると、おおよそクリアできそうであった。A病院側もインターベンションの強化を希望しており、市内のクリニックとの連携にも前向きだった。

そこで、M先生に連絡を取り、A病院を打診した。しかし、答えは「ノー」だった。理由は、「Rクリニックに近すぎるので、商圏が重なり、共存ではなく、Rクリニックの患者さんを奪ってしまう恐れがある。患者さんの取り合いは本意ではない」とのことだった。 選定は振り出しに戻ってしまった。

 

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