トップページ転職マニュアルstep4.入職・退職交渉

医師の社会では「辞め方」にも
細心の注意を!

医師が病院を辞めるのはとても大変です。
まして円満退職を目指す以上は、それ相応の戦略を練っておく必要があります。

退職交渉のアドバイス
~辞意表明から退職まで期間は?

民法上の2週間前退職意志表示、一般的な1ヶ月前退職意志表示、雇用契約書に盛り込まれている期間などあります。

常勤先によって様々ではございますが、円満退職するためには、業務の引き継ぎや後任の人材補充をする事も考えて、最低でも3ヶ月前には上司もしくは院長へ辞意の表明をしましょう。
しかし、就業規則などに取り決めがなされている場合は、こちらに従う事が社会常識上妥当となりますのでご注意ください。

また、ローテーションなどで勤務日程が決まる職種によっては、切りのよい時期を見計らう、繁忙期や年末年始を避けるといったことも大切です。
自分勝手な辞意表明は、強い引き止めにあう場合もあります。

特に大学人事で勤務していた病院を退職する場合は、人事権を握っている准教授もしくは講師の先生方、そして教授とのお話まで行き着くまでにステップが複数あること、退職の話が遅々として進まないことも考慮に入れ、5~6ヶ月前に退職意志表示を示していくことがよいかと思います。
ただ転職先が内々で確定した段階で、大学に初めて退職意志表示をする場合、色々な要因が絡み入職予定日がズレる、もしくは大学の慰留にあって最悪残留するなど色々な展開が考えられます。
事前に合意していた入職日がずれても、転職先病院は極端に延期しない限り内定取り消しなどの措置は行ないません。しかし取り消しはないにしても、入り口の部分でつまずいてしまうと、入職後も先生方もやりにくい面も出てくるかもしれません。
ましてや事前に雇用契約書を交わしたにも関わらず大学に残留となった場合 契約違反を問われることはないまでも、転職先の損失は多大なものですし、先生に対する信頼はガタ落ちになります。
したがって、退職交渉の進捗ならびに先生方を採用する場合の招聘条件の細部にわたるクロージング(雇用契約の締結)の進捗状況を勘案しながら、入職日の確定、事前に雇用契約書締結が必要な場合、その締結を行なっていかれたらよいかと存じます。
仕事内容、職場の状況などを考慮して、無理のない退職スケジュールを立てましょう。

※売り手市場一辺倒だった少し前の時代と違い(偏在による医師不足は変わらず事実ですが)、色々な点で、病院も採用にあたってシビアになっています。
現職への退職の意志表示、転職候補先での退職理由の説明、どちらの場合も現場でのプレゼン力が必要であったり、面接時に必須でないと言われている職務経歴書(個人の診療理念やあるべき姿、単に症例数の記載だけなく、何を実現し、どんな利益に貢献したか、どんな委員会に参加し、病院運営や経営にどんな形で関わったかなど)の記載内容などが意外と評価のポイントになっていることは確かです。
ご不安な方は、お気軽に担当キャリアコンサルタントまでご相談ください。

年金・保険・税金の手続き

「税金」「保険」「年金」などお金に関わる手続きは、在職中は給与から天引きされているため意識が薄くなりがちです。しかし、なおざりにするとあとあと面倒になる事が多いので、怠らずに手続きをしましょう。

    退職時に必ず受け取るもの
  • 1.雇用保険被保険者証
  • 2.源泉徴収票
  • 3.年金手帳

  • 健康保険
  • 年金
  • 税金
  • 雇用保険

転職先が既に決定している場合

退職日に現勤務先に「健康保険証」を返却し、転職する病院に入職後すぐ、健康保険加入の手続きを依頼する。

転職先に勤務するまでに間がある場合

退職すると健康保険の被保険者資格がなくなります。
再就職まで間がある場合は、次のどちらかの保険制度に加入しなければなりません。

  • 1.健康保険任意継続
  • 2.国民健康保険

現在、医療費の一部負担金は、国民健康保険も任意継続も3割と変わらないので、最も大きな違いは月々の保険料額です。
国民健康保険は各市区町村によって運営され、住んでいるところと前年度の所得、保有資産などによってその額は異なります。
任意継続の場合、それまで給与から天引きされていた額の2倍になりますが(半額を雇用者=病院側が負担するため)、上限額は、介護保険が適用されない場合で、都道府県と月々の給与の額により異なりますが概ね3万円以下(協会けんぽの場合)となり、国民健康保険料と比べて判断することになります。

退職後の健康保険比較表

保険の
種類
健康保険
任意継続
国民健康保険
手続きの
期間
退職の翌日から20日以内 退職の翌日から14日以内
書類の
提出先
「加入していた健康保険組合」または「居住地域の社会保険事務所」 「住所地の市区町村役所」「役場」
必要な
もの
「健康保険任意継続被保険者資格取得申請書」、「印鑑」、「住民票」、「健康保険扶養者届(※被扶養者がいる場合)」 「健康保険の資格喪失日がわかる証明書(※健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書、離職票の内どれか1通)、「各市町村で定められた届出書」、「印鑑」
保険料 毎月1日~10日までに納付 市区町村により異なる

転職先が既に決定している場合

退職の際に「年金手帳」を受け取り、転職する医療機関に入職後すぐ「年金手帳」を提出し手続きをしてもらいます。
手続き終了後は本人に返却されますので、各自保管になります。

転職先に勤務するまでに間がある場合

20歳以上60歳未満の人は「国民皆年金」が原則。 就業中は第2号被保険者(国民年金と厚生年金か共済年金に加入)ですが、休職期間中は第1号被保険者(国民年金のみ)に変わるので、市町村役場で変更手続きをする必要があり、扶養義務のある配偶者も同様です。

被保険者
の種類
加入
する人
加入
手続き
保険料の
納め方
第1号
被保険者
20歳以上の学生、フリーター、20歳以上60歳未満の開業医など 住民票のある市区町村の国民年金担当窓口 日本年金機構から送付された納付書により納めるか、口座振替で納めます
第2号
被保険者
医療機関などに勤めている人 勤めている医療機関 給与から天引きされます
第3号
被保険者
第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 第2号被保険者である配偶者が勤めている医療機関または企業 自分で納める必要はありません。第2号被保険者である配偶者が加入している厚生年金や共済組合が負担します
年金に関する手続き
手続きの期間 退職後14日以内
書類の提出先 市区町村役場の国民年金窓口
必要なもの 年金手帳
保険料 月額 13,300円

年金というだけに受給は先の事ですが、年金は老後のためだけでなく、病気やけがで障害が残り、仕事に就けなくなったときに「障害基礎年金」によって最低限の保障が受けられたり、配偶者や子供を残して死亡したときに「遺族基礎年金」によって遺族が生活保障を受けられる制度でもあるので、必ず加入が原則です。

住民税

住民税は前年の収入がベースとなり徴収されます。退職後の手続きは時期によって異なります。

退職
時期
支払い方法
1~5月
に退職
退職時に、最後の給与(または退職金)から一括で、残りの住民税を天引きしてもらうことになります。
例1)3月に退職する場合
3月~5月の3カ月分の特別徴収を雇用者(医療機関)側が行う
例2)5月に退職する場合
5月分のみの特別徴収を雇用者(医療機関)側が行う
6~12月
に退職
退職時に、最後の給与(または退職金)から一括で、残りの住民税(翌年の5月まで支払う分)を天引きしてもらうことになります。
あるいは、雇用者(医療機関)側に「特別徴収」から「普通徴収」への切替を依頼し、後日、市区町村から送られてくる住民税の納税通知書により本人が支払います。

所得税

給与をもらっている人の場合、源泉所得税は1月~12月まで給与を受け取ることを前提に算出されているので、休業の期間があればその部分の所得税は戻ってきます。手続きはその年内に再就職したかどうかで異なってきます。

年内に再就職した場合
転職した医療機関で年末調整を行ないます。
生命保険・医療費控除証明書と前勤務先の「源泉徴収票」を提出すれば手続きしてもらえます。

年内に再就職しなかった場合
税務署にて申告に必要な書類を用意し、2月16日~3月15日の間に確定申告を行ないます。
明らかに還付(払いすぎた税金が戻ってくる)の場合は1月以降から随時受け付けてくれます。

医師の税金

下記の場合などは就職時期に関わらず確定申告が必要となります。

  1. 年間収入が2000万を超える
  2. 複数箇所から給与所得がある
  3. 給与所得と退職所得以外に所得が20万円以上ある人

アルバイトをしていたり、原稿料や講演料がある医師は気をつけてください。
原則として、アルバイトをしている場合はそれぞれの源泉徴収票を集め確定申告が必要となります。
詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/

雇用保険

退職の際に「雇用保険被保険者証」を受け取り、転職先の医療機関に提出して手続きをしてもらいます。
労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます)と雇用保険をまとめた総称です。
雇用保険の加入は、法人・個人を問わず一応、義務付けられています。
ちなみに、雇用保険でいう「失業状態」とは、就職したいという積極的な気持ちがあり、実際にいつでも就職できる健康上・環境上の能力があって、積極的に就職活動を行っているにもかかわらず、職に就くことができないでいる状態のことをいいます。
そのため、失業保険の受給が現実的でないという理由で医師に対しては掛けていない医療機関もありますので、確認が必要になります。

労災保険とは
労働者が業務上の災害や通勤による災害を受けた場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付です。

雇用保険とは
雇用保険は失業者への給付を行なっているため、失業保険ともいわれています。

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